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「貴方と私の世界」1話は此方→
そして、彼女が消えた。
ウンスは屋敷に帰ってもいいと言い続けていたが、俺はウンスが夜勤の時以外はマンションに泊まっていた。
だが、ウンスを抱くことはしなかった。
ウンスに嫌われたくなかった。
毎日一緒のベットで、ただ抱き締めて眠っていた。
ウンスは何も言わなかった。
ただ、その瞳がいつも悲しそうに揺れていた。
後悔ばかりが募る。
なぜマンションにSPを毎日つけなかったのか。ウンスが居ない日もSPを置くべきだった。
そうすればウンスを止める事が出来たかもしれない。
外部の研修で5日間泊まると言われた時、何故チャン・ビンに確認を取らなかったのか。
屋敷に届いた手紙を読むと、俺は自分で運転してウンスのマンションに向かった。
チュンソクが既に確かめていたが、
自分の目でも確かめないと気が済まなかった。
いや、本当はまだマンションにウンスが居るのではないかと思っていた。
運転しながらハンズフリーでチャン・ビンに電話をする。
用件を言わずとも向こうから話し始めた。
『今、お前の所の秘書からも電話があったが、俺は何も知らない。』
「退職するのに、許可がいるんじゃないのか?」
『何度も言うが、科が違うし、俺は院長ではないので、全ての書類に目を通している訳ではない。』
「次の就職先や、連絡先は?」
『しばらく仕事をしないでのんびり過ごすと言って、教えなかったらしい。』
ちっ。
「何かわかったら教えろ」
そう言って、俺から電話を切った。
ウンスのマンションには何もなかった。
沢山の本が詰まった本と、ベッドだけが残されていた。
どちらも俺が持ち込んだものだった。
部屋に一人情けなく佇む俺は、その情けない自分が映る窓ガラスに拳を打ち付け、
俺の心のように砕けたガラスを眺めていた。
いつ振りに泣いたのか。
泣いた記憶などなかったから、初めてかもしれない。
父が死んだ時も涙は出なかった。
母は記憶にないくらい幼い時に死んだので、恋しいとも思わなかった。
ウンスは、今までで唯一愛した女(ひと)だった。
やっと見つけた俺だけの女だった。
先ほど電話で話したばかりのチャン・ビンが呼ばれ、俺の拳の治療をしていった。
あいつは俺を捨てられた仔犬のようだと言っていた。
俺はウンスに捨てられたんだ。
逃げるほど、俺が重かったのだろうか。
ウンスが言う、住む世界が違い過ぎる事が未だに理解出来なかった。
ウンスは他にも何か抱えているのだろうか...。
秘書のドチとチュンソクがあらゆる場所に圧をかけている。
俺はウンスの部屋で佇み、連絡を待った。
俺の割った窓ガラスから冷気が舞い込む。
手の痛さも、寒さも感じない。
ただ心だけが痛かった。
執事のアンジェが俺の身体に毛布を掛けると、俺の隣りに座った。
俺と同じように、膝を立て、壁に寄り添って。
そして静かに話し始めた。
「ユ様は怖かったのだと思います。
ヨン様の愛が大き過ぎて。」
「怖かった?」
「地位も名誉も全てを持っていヨン様と、自分との世界の違いにも戸惑われていたのだとは思いますが、
ヨン様から自分が愛される価値があるのか。
自分はヨン様と同等の愛を返せるのか、不安だったのではないでしょうか?」
「それで逃げたと?」
「私の勝手な予想ですが。」
俺はアンジェを見た。
「ヨン様はお気づきでしょうか?
ヨン様はユ様と一緒にいらっしゃる時は、穏やかで優しい表情をなさっています。
普段のヨン様も微かですが、表情が柔らかくなられました。」
俺はアンジェの言葉を静かに聞いていた。
「お父様が亡くなられた時、あなたは涙ひとつ流さなかった。
それからこの家を守る為に必死に生きて来られました。
ヨン様が表情を隠すようになったのはその時からです。
貴方を変えたのはユ様です。そんな素晴らしい方を逃しては・・」
「俺にどうしろと?」
「ヨン様は、これからどうするおつもりですか?」
「見つけ出して、連れ帰る。」
俺はアンジェの目を見て話を続けた。
「屋敷に閉じ込めて、鎖に繋いででも、俺のもとから離さない。」
アンジェが笑みを浮かべた。
「安心しました。ヨン様らしくて。
ユ様に居場所を作ってあげて下さい。
チェ様の隣りがユ様の居場所である事を教えて差し上げて下さい。」
ドチが俺に早足で向かっていた。
「ソウル市内の引越し会社を全て当たりましたが、見つからず、どうやら個人の小さな引越し会社を使われたようです。
お車にお乗り下さい。
ヘリポートへ向かいます。
ヘリで参りましょう。
もう直ぐ、詳しい住所が判明します。」
俺はマンションを出て車に乗った。
運転はSPのチュソクだ。
こいつの運転が一番安全で早い。
(の画像をお借りしています。お持ち帰りや無断転載はご遠慮下さい。)
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